法科大学院の講師や知り合いの先輩弁護士から、「司法試験終了後に再現答案を作成するように」といった指導を受けたことはありませんか?再現答案は、自己採点時に役立つだけでなく、勉強指針の確認や不合格となった場合の原因分析等にも有用的であるといわれています。

石崎 庄介 弁護士

ここでは、再現答案を作成した時期や目的、作成する際のポイントなどついて、お伝えします。

再現答案

再現答案は、いつ頃作成しましたか?

記憶が鮮明なうちに答案を作成したかったので、受験後1週間以内に着手しました。

再現答案を作成しようと思ったきっかけは何ですか?

司法試験は計3回受験したのですが、初めて受験した際の成績が悪かったので、その原因を探るために作成しようと思ったのがきっかけです。

再現答案は、何科目分作成しましたか?

全科目作成しました。作成した答案は、二次試験や成績評価の予測にも役立ちました。

再現答案を作成するにあたり、意識したことはありますか?

作成当初、人に見せる予定はなかったので、形式にはこだわらず、再現性を重視しました。また、成績評価の予測に使用することを見越して、自己採点を裏付ける個人的見解も併せて書き込みました。

再現答案を作成するメリットは何だと思いますか?また、実際の成績との差や第三者からのアドバイスはありましたか?

成績評価と見比べて、予測が当たっていれば勉強法は正しいと考え、学習を続けました。反対に、大きく異なっていた科目があれば、勉強方法を見直しました。この方法により、「勉強の方向性は正しい」と自信を持てたことが一番の収穫でした。

2回目の受験では、民事訴訟法のA評価と刑事系科目のF評価が成績を左右しました。民事訴訟法は、予備校の模範答案とはかけ離れていましたが、自分の中では手ごたえがありました。実際に、予測が当たって自信につながったのを覚えています。いっぽう、刑事系科目は解けなかった自覚があり、評価が悪くても仕方がないと諦めていましたが、まさかのF評価で落胆しました。他の科目に関しては、どれも合格ライン並みと予想しており、実際の評価と違いがあっても気になりませんでした。
結果、F評価が響き、2回目の受験も不合格でした。ちょうど、ロースクールの同級生の中に2回目の受験で合格した友人がいたので、頼み込んで個人的に指導をお願いしました。まず、成績表と再現答案をすべて見せてほしいと告げられ、データを渡したところ、答案の良しあしではなく、全体的な勉強の指針についてアドバイスを受けたのを覚えています。すべての情報を把握しないと、今後の勉強法やコツについてアドバイスできないからとのことでした。いま思えば、見栄を張って、嘘はつかないでほしいという示唆だったように感じます。信頼関係を築き、お互いに本音で話すためには、当然必要な過程でした。友人のアドバイスのおかげで、3回目の受験では無事合格できました。