40歳以上の修習生活

 司法修習には、学部在学中に予備試験を経て司法試験に合格した方から、社会人経験を経て法科大学院、予備試験を経て合格した方まで、様々な年齢の合格者が集います。
 巷では、年齢が高い修習生は就職活動が不利だ、20代や30代前半が中心の修習生に馴染みにくいというような真偽不明の情報が出回っています。
 そこで、こちらではアディーレに入所した40歳以上の73期弁護士に修習生活や就職活動の実態を紹介してもらいます。

保多 崇志 弁護士の場合

司法修習の情報は、どのように収集しましたか?
保多 崇志 弁護士

司法試験合格後から、導入修習が始まる前までの間は、ロースクールの合格者グループ内(自分を含め8名)で、情報交換をしていました。また、同じロースクール出身で、直近の修習期である先輩弁護士からは、起案の出題傾向やコツなどを教わりました。

特に、この時期に有効だった手段は、司法試験予備校や日弁連等が主催する「司法試験合格祝賀会」に積極的に参加することです。その祝賀会で、たくさんの合格者と名刺交換したことで、老若男女問わず、多くの知己を得て、お互いの情報交換につなげることができました。そのうち数人の方々とは、修習地が違っても情報交換できる関係が続き、二回試験合格までやり取りしていたので、非常に役立ちました。

司法修習が始まると、研修所のクラスメイト(約70人)を中心に、座席が近い方同士で、人の輪を広げていきました。同年代のクラスメイトはもちろんこと、自分の子ども世代といえるような若い同期の方々にも、快く受け入れてもらうことができました。今では、周囲のご厚意に感謝の気持ちでいっぱいです。

二回試験直前になると、前述のとおり、祝賀会等で知り合った地方組の同期との情報交換が、非常に役立ちました。A班(大都市組)とB班(地方組)では、二回試験向けの司法研修(集合修習)が異なるカリキュラムで進められるので、相互の情報交換をできる人の御縁を、導入修習期に作っておくことをおすすめします。

さらに、アディーレの「二回試験対策の生講義」も、情報交換の場として、大いに役立ちました。アディーレの内定者の方々は、皆さん物腰柔らかで接しやすい方ばかりでした。二回試験直前期に、全国の同期内定者同士で助け合えるという点も、ほかの法律事務所にはないアディーレならではの美点だと思います。


就職活動は、いかがでしたか?
保多 崇志 弁護士

就職活動を始めた頃、年齢の壁に阻まれ、若い修習生の方々に比べて書類選考が通りにくいという実感があったのは事実です。しかし、履歴書を書き、数多くの法律事務所に送ることで、しだいに書類選考を突破するコツのようなものがつかめてきました。40代の修習生でも、「売り手市場」と呼ばれる現在、「司法試験合格者」という点では、若い修習生の方と変わりありません。すなわち、一般企業の就職活動と異なり、書類選考に落ち続けて1社も面接に進めないということは、ほとんどないと考えていいと思います。

私は書類選考を突破するため、(1)ハローワーク、(2)出身ロースクールの大学にある就職課に通いました。自分の履歴書や職務経歴書を、「法律の専門家」である弁護士だけでなく、「就職の専門家」に見ていただき、添削指導を受けました。(1)・(2)いずれも無料なので、書類選考の通過率を上げる策として、ぜひおすすめしたいです。結果的に、「他人の目から見える自分」を客観視できるいい機会にもなりました。


同年代の合格者に向けて、メッセージをお願いします。
保多 崇志 弁護士

私自身、修習開始前は、年齢を重ねた自分が、若い同期修習生の方々から受け入れてもらえるか非常に心配でした。しかし、実際に修習の場に臨んでみると、多くの若い修習生から快く接してもらうことでき、心配は杞憂に終わりました。自分から壁を作らず、積極的に同期修習生の方と接していく姿勢さえあれば、年齢を重ねていることが修習のハンデになることは、ないと実感しました。むしろ、年齢を重ねた分、若い修習生の皆さんから人生相談を受けるなど、頼りにしてもらえたという嬉しい面もありました。
本文章をお読みいただいた40歳以上の皆さまの充実した司法修習ライフを、心よりお祈り申し上げます。